1989 年 15 巻 1 号 p. 24-35
本研究は,2条件のプロソプト刺激の提示方法(漸増型および固定型時間遅延法)の比較を目的とした。3人の表出言語面に問題のある自閉症児が,要求事態において適切な反応型を用いて反応するように教えられた。教授手続きは以下の通りである。1)予備訓練:要求行動の反応型の形成。2)訓練:形成された反応型を時間遅延手続きによって機能化させる。3)般化テスト:対人,場面,および未訓練の標的反応にわたる般化効果のためのプローブ。2つの教授手続き(漸増型および固定型時間遅延法)が,標的反応の生起頻度および般化の程度という面から比較された。その結果,両時間遅延手続きは,標的反応を引き起こすのに有効であったが,3名の被験児のうち2名おいて,固定条件よりも漸増条件のほうが獲得基準に要したセッション数が少なかった。これらの結果は,主に,2つの時間遅延手続き間の相違点の同定のための比較方法という観点から考察された。