行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
15 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 生和 秀敏, 横山 博司
    原稿種別: 本文
    1989 年 15 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究は不安の交互作用モデルを検討するため,刺激としてホワイトノイズとポルノビデオ,状況として表情が観察される条件と非観察条件を設定し,刺激要因と状況要因が不安反応に及ぼす影響について調べた。その結果,身体危機を引き起こすホワイトノイズでは,状況によってさほど変化はなく,自我脅威を引き起こすとされているポルノビデオでは,観察される条件において不安反応が有意に増大した。さらに,特性不安尺度としてR-Sを用いた分析では,R群は主観的反応を抑圧し,特にポルノビデオ条件でその傾向が顕著であり,生理指標とのズレが大きいことが示された。これらの結果は,特に自我脅威を引き起こすような事態については,刺激要因だけでなく,むしろそれがどのような条件下において呈示されるかといった状況要因について考慮して設定することの必要性を示すものである。また,そこで表出される不安反応は防衛機制が働きやすいため,生理指標をも含めた多次元からなる不安反応を測定することの必要性も示唆された。
  • 大河内 浩人, 山本 麻子, 上里 一郎
    原稿種別: 本文
    1989 年 15 巻 1 号 p. 13-23
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では,フィードバックと教示が,末櫓皮膚温上昇に及ぼす効果を検討した。16名の男子学生を,4名ずつ,標的反応教示・フィードバック群(RI-F群),標的反応教示・フィード・ミックなし群(RI-NF群),安静教示・模擬フィードバック群(Rest-SF群),安静教示・フィードバックなし群(Rest-NF群)の4群にふりわけ,12セッショソ行なった。多くの被験者の皮膚温は,安静期よりも訓練期の方が低かった。初期のセッショソで,RI-F群では,他の群より皮膚温が降下し,フィードバックの妨害効果が認められた。教示や効果は明確ではなかったが・RI-F群の教示は,Rest-SF群より皮膚温を降下させる傾向があった。第1試行の皮膚温変化量が,セッション全体の皮膚温変化量と高い相関があった。これらの結果をもとに,・ミイオフィード・ミックによる皮膚温制御の可能性を考察した。
  • 加藤 哲文, 小林 重雄
    原稿種別: 本文
    1989 年 15 巻 1 号 p. 24-35
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究は,2条件のプロソプト刺激の提示方法(漸増型および固定型時間遅延法)の比較を目的とした。3人の表出言語面に問題のある自閉症児が,要求事態において適切な反応型を用いて反応するように教えられた。教授手続きは以下の通りである。1)予備訓練:要求行動の反応型の形成。2)訓練:形成された反応型を時間遅延手続きによって機能化させる。3)般化テスト:対人,場面,および未訓練の標的反応にわたる般化効果のためのプローブ。2つの教授手続き(漸増型および固定型時間遅延法)が,標的反応の生起頻度および般化の程度という面から比較された。その結果,両時間遅延手続きは,標的反応を引き起こすのに有効であったが,3名の被験児のうち2名おいて,固定条件よりも漸増条件のほうが獲得基準に要したセッション数が少なかった。これらの結果は,主に,2つの時間遅延手続き間の相違点の同定のための比較方法という観点から考察された。
  • 足達 淑子
    原稿種別: 本文
    1989 年 15 巻 1 号 p. 36-55
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    肥満に対する集団行動療法の効果を検討する目的で,保健所において行動療法の個人治療を併用した治療を個別群15名(年齢48.1歳,BMI27.8kg/m^2)に,行動療法の集団治療のみを集団群27名(50.1歳,28.9kg/m2)に,一般的な栄養と運動指導を比較群57名(50.5歳,28.5kg/m^2)に行なった。6か月の治療期間中の脱落者は個別群が2名(13.3%),集団群が5名(18.5%),比較群が31名(54.4%)であり,これを除いた個別群13名,集団群22名,比較群26名についての結果は次のとおりであった。行動療法の2群は減少体重が約6kgで比較群の2倍であり,個別群と集団群では,治療期間中は差がなかったが,2年の追跡調査では個別群が優れていた。また行動療法群では,治療初期の減少体重,治療のコソプライアンス,終了時の減少体重が,治療終了後の効果の維持と関係があった。そのほかに,開始時の体重と体脂肪量,および減量希望体重が治療効果に影響した。行動療法群は減量効果のほかに血中脂質の改善,摂取エネルギーの減少,身体的および精神的自覚症の改善を認めた。以上より行動療法は,肥満の安全で有効な治療法であると結論した。
  • 生月 誠, 原野 広太郎, 山口 正二
    原稿種別: 本文
    1989 年 15 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    拮抗動作法を用いて拮抗制止訓練を実施し,その治療効果から運動反応による拮抗制止法のメカニズムについて検証しようとした。実験の結果,本訓練法は,対人緊張,単純な恐怖症,不安発作,雑念,運動性の障害のうち顔面緊張,チックに有効であることが明らかになった。また弛緩反応で抑制できる症状は,運動反応によっても抑制が可能であり,弛緩反応では抑制が困難と思われる運動性の障害や強い情動反応においても,運動反応を用いると,ある程度症状の抑制が可能であるという示唆を得た。
  • 小玉 正博
    原稿種別: 本文
    1989 年 15 巻 1 号 p. 62-73
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究はBF信号の操作がHR減少コソトロール課題と反応統制感の形成に及ぼす効果を明らかにすることを目的とした。被験者は実際のHR値より10%多く減少したようにBF情報が操作される(RPF)群と,反対にHR減少量が10%少なくフィードバックされる(RDF)群,HR実測値がフィードバックされる(TBF)群に11名ずつ配置され,HR減少コントロール課題1分2試行を3セッション行なった。各被験者にはHR課題前に反応統制の予測点,課題後にその評価点を求めた。実験の結果,RPF群は他の2群よりも有意なHR減少と有意に高い反応統制の予測点と評価点を示した。さらに,セッション3においてRPF群のHR減少と統制の予測,評価との間に有意な相関を示し,HR減少量と予測点,評価点の増加との間に累積的な効果が見られた。これらの結果から,RPF信号はHR減少課題にBF効果を持ち,反応統制感の形成に有効であることを示した。
  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 15 巻 1 号 p. 74-75
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
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