抄録
本研究は心拍率(以下HRと略記する)自己制御におけるイメージ能力の個人差とストラテジーの効果について検討した。99名の大学生に対し実施したSSI(SophianScaleofImagery)の結果,高イメージ能力群,低イメージ能力群各8名が被験者として抽出され,さらに各群の被験者はストラテジー有群または無群のいずれかに割り当てられた。被験者は1セッションにつき1分間のHR減少課題を計6セッション課せられた。その結果,以下の3点が明らかになった。(1)イメージ能力の個人差はストラテジーとして用いるイメージと関わりつつ,HR制御成績に影響を及ぼす。(2)ストラテジーの存在はHR制御成績を向上させるよう作用する。(3)HR自己制御(減少課題)によりリラックス方向への情動状態の変化が得られる。