抄録
高血圧症に対する行動的処置法の研究動向を探ろうとして,本評論では,まず行動的処置法の型分類から入り,ついでどのように研究情報を得たかの文献択基準(追跡3か月以上など)を示し,抽出された15の研究論文を要約しながら,出現した効果の吟味と,これに影響したと思われる諸要因の構造分析を試みた。その結果,ストレス管理法の有効性はある程度示唆されたものの,むしろ処置技法以外の別種な要因一患者の年齢,治療前のベースライソ期間,BP初期値と初期服薬率,そして,発表時期による研究スタイルの変化一が,強く影響し合っていると判明した。こうした点を踏まえながら,今後の研究に残された課題をいくつか提言した。