抄録
身体の緊張一弛緩の体験と対人知覚の関係について検討するために,2つの実験を行なった。実験1では,男子大学生を緊張群,弛緩群,統制群に分け,緊張一弛緩の体験の前後に,同一の女性(モデル)に対する印象評定を実施した。実験Hでは,男子大学生を弛緩を体験する実験群と弛緩を体験しない統制群に分けて,モデルに対する印象評定とパーソナル・スペースの測定,モデルの見えの大きさの測定,それに脈波の測定を行なった。その結果,緊張の体験はネガティブな対人知覚をもたらすのに対し,弛緩の体験はポジティブな対人知覚をもたらすことが見いだされた。また,弛緩の体験は心理的な安定をもたらし,それによって対人的な接近に対する不安緊張を軽減することが見いだされた。