抄録
本研究では,自閉症生徒2名を対象として,3桁の金額に対する3種類の硬貨(100円硬貨・10円硬貨・1円硬貨)の構成を訓練した。最初対象生徒に対して,硬貨に関する構成反応見本合わせ課題による訓練が行われた。しかしながら,正反応率は低いままであった。その際の誤反応を分析した結果,対象生徒は,数字に対応して硬貨の枚数を並べることは可能であったが,桁に対応して硬貨の種類を弁別することが困難であった。そして,桁の弁別が必要とされる硬貨に対する金額カードの選択訓練を実施したところ,対象生徒は,3桁の金額に対応する硬貨を構成することが可能となった。この結果は,複合刺激に対する反応形成という観点から考察された。