行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
22 巻, 2 号
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  • 野呂 文行, 小林 重雄
    原稿種別: 本文
    1996 年22 巻2 号 p. 1-8
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では,自閉症生徒2名を対象として,3桁の金額に対する3種類の硬貨(100円硬貨・10円硬貨・1円硬貨)の構成を訓練した。最初対象生徒に対して,硬貨に関する構成反応見本合わせ課題による訓練が行われた。しかしながら,正反応率は低いままであった。その際の誤反応を分析した結果,対象生徒は,数字に対応して硬貨の枚数を並べることは可能であったが,桁に対応して硬貨の種類を弁別することが困難であった。そして,桁の弁別が必要とされる硬貨に対する金額カードの選択訓練を実施したところ,対象生徒は,3桁の金額に対応する硬貨を構成することが可能となった。この結果は,複合刺激に対する反応形成という観点から考察された。
  • 嶋田 洋徳, 戸ヶ 崎泰子, 岡安 孝弘, 坂野 雄二
    原稿種別: 本文
    1996 年22 巻2 号 p. 9-20
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,小学生における社会的スキルの獲得の程度を測定する尺度(SSS-E)を作成し,社会的スキルの獲得が,心理的学校ストレスの軽減にどのような効果を持っているかを検討することであった。まず,調査1において,小学校4年生から6年生までの1,405名を対象として社会的スキルの獲得の程度を測定した。その結果にもとついて因子分析を行ったところ,児童の社会的スキルには,「向社会的スキル」「引っ込み思案行動」「攻撃行動」という3因子があることが明らかにされた。次に,調査IIおいて,小学校4年生から6年生までの1,283名を対象として,小学生用学校ストレッサー尺度(嶋田他,1992a),小学生用ストレス反応尺度(嶋田他,1992),および,本研究で作成されたSSS-Eを用いて,児童の学校ストレッサーとストレス反応,社会的スキルの獲得の程度を測定した。そして,社会的スキルの獲得の程度と学校ストレッサーを独立変数,ストレス反応を従属変数とする2要因の分散分析を行った。その主効果と交互作用の組み合わせの結果から,社会的スキルの獲得は,小学生の心理的学校ストレスに対して軽減効果を持つことが示された。これは,適切に社会的スキルを獲得している児童ほど,ストレス反応の表出が少なかったことを示唆するものである。最後に,学校生活において児童が適切な社会的スキルを獲得することの意義,また,学校ストレスに対するマネジメントの方策としての社会的スキルトレーニングの有効性が討議された。
  • 高沢 加代子, 田村 嘉子, 木津 明彦, 福井 至, 岩本 隆茂, 千丈 雅徳, 斎藤 康子, 斎藤 巌
    原稿種別: 本文
    1996 年22 巻2 号 p. 21-42
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本邦における認知療法,認知行動療法,生活技能訓練法や社会技能訓練法について,経年的に文献数の推移や内容の変遷を検討し,今後の可能性や新たな展望を模索した。総数は17年間で354件で,臨床関連が75%で漸増傾向にある。1989年から急速に増加し年間40〜60件台である。認知療法,認知行動療法と生活療法,社会技能訓練は7:3であった。分野別では精神分裂病領域が最多で,概論・方法論,教育関連,不安および神経症,食行動異常,うつ病の順であった。心身症は多領域に分散し合せると約20%で最大であった。後半期には精神科領域の成長が著しく,保健適用の機運の影響が伺われた。認知カウンセリングという認知科学を基盤とする新たな領域が台頭する一方,禅文化と認知療法の関わりを究明する研究もみられた。
  • 津田 耕一
    原稿種別: 本文
    1996 年22 巻2 号 p. 43-56
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本報告では中程度域の知的障害者に対し,自立生活訓練として自立生活行動スキルの修得を言語による教示,ガイダンス法などのプロンプト,モデル提示,ビデオ分析による自己強化法等のパッケージ技法を用いて試みた。ターゲット行動はクライエントの対処能力をアセスメント(以下,査定と表記)した結果,戸締まり行動と料理行動とした。実験デザインは行動間の多層ベースラインデザインを用いた。訓練は行動の習慣化,形成化,確立化・自発性の三段階に分け,ポストチェック・般化テストを施行した。また,日常生活を想定した疑似場面設定のなかで,クライエントの行動評価を繰り返し行うことで漸次形成化を試みた。ベースライン期ではほとんど生起されなかった行動が,訓練導入後戸締まり行動は100%の生起率を示し,料理行動も目標基準を達成した。この効果は3〜9ヵ月後のポストチェックおよび般化テストにおいても継続されていた。
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