抄録
本邦における認知療法,認知行動療法,生活技能訓練法や社会技能訓練法について,経年的に文献数の推移や内容の変遷を検討し,今後の可能性や新たな展望を模索した。総数は17年間で354件で,臨床関連が75%で漸増傾向にある。1989年から急速に増加し年間40〜60件台である。認知療法,認知行動療法と生活療法,社会技能訓練は7:3であった。分野別では精神分裂病領域が最多で,概論・方法論,教育関連,不安および神経症,食行動異常,うつ病の順であった。心身症は多領域に分散し合せると約20%で最大であった。後半期には精神科領域の成長が著しく,保健適用の機運の影響が伺われた。認知カウンセリングという認知科学を基盤とする新たな領域が台頭する一方,禅文化と認知療法の関わりを究明する研究もみられた。