1名の自閉症生徒に、電車とバスを利用した移動スキルを形成した。まず、環境調査と両親および本人へのインフォームド・コンセントを行った。事前テストに続いて、現実場面において即時プロンプト条件と、遅延プロンプト条件による指導を行った。それによってほとんどの行動連鎖は獲得されたが、現実場面での指導において習得が困難であったバスへの接近と乗車行動については、パソコンを用いたシミュレーション指導を行った。その結果、現実場面において移動スキルの行動連鎖を形成することができた。一方、地域の人々と生徒とのかかわりについて継続的に観察を行った。その結果、生徒に対する地域の人々の反応の出現に、特徴的な傾向があることが示された。それらの結果について、指導方法については代表例教授法の観点から、地域の人々との相互作用については、強化随伴性の観点から考察した。