行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
28 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 野呂 文行, 藤村 愛
    原稿種別: 本文
    2002 年28 巻2 号 p. 71-82
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    注意欠陥・多動性障害児童の授業準備行動の改善に関して、機能的アセスメントとそれに基づく介入方法の効果を検討した。機能的アセスメントは、教師に対するインタビューと教室内での直接観察によって収集された情報に基づいて実施された。このアセスメントから作成された介入案は、教室内で適用する前に大学相談室にて機能的分析が試みられた。アセスメントに基づいて担任教師に対して提案された介入案は、1)授業準備に関する個別指示、2)授業準備の遂行に対するトークンの提示であった。トークン表は担任教師により1週間に1回の割合で大学相談室に送付され、その結果に基づいてバックアップ強化子が対象児童に対して提示された。これらの手続きが実行されることで、対象児童の授業準備行動において改善が示された。この結果から、注意欠陥・多動性障害児童が教室内での示す行動問題に対して、機能的アセスメントの利用が有効であることが示唆された。
  • 渡部 匡隆
    原稿種別: 本文
    2002 年28 巻2 号 p. 83-95
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    1名の自閉症生徒に、電車とバスを利用した移動スキルを形成した。まず、環境調査と両親および本人へのインフォームド・コンセントを行った。事前テストに続いて、現実場面において即時プロンプト条件と、遅延プロンプト条件による指導を行った。それによってほとんどの行動連鎖は獲得されたが、現実場面での指導において習得が困難であったバスへの接近と乗車行動については、パソコンを用いたシミュレーション指導を行った。その結果、現実場面において移動スキルの行動連鎖を形成することができた。一方、地域の人々と生徒とのかかわりについて継続的に観察を行った。その結果、生徒に対する地域の人々の反応の出現に、特徴的な傾向があることが示された。それらの結果について、指導方法については代表例教授法の観点から、地域の人々との相互作用については、強化随伴性の観点から考察した。
  • 谷 晋二
    原稿種別: 本文
    2002 年28 巻2 号 p. 97-109
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では、発達障害をもつ19名の子どもの家族に早期家庭療育として、行動理論に基づく指導を実施した結果を検討した。指導は、谷(1998,2001)の方法によって行い、発達指数の変化、言語理解、言語表出領域の発達年齢の変化、言語獲得に関するチェックリスト、小児自閉症評定尺度(CARS)、および家庭療育に関するアンケートの結果をデータとして収集した。その結果、11名の子どもで基礎的な言語理解、命名、マンドが獲得され、8名の子どもでDQの上昇がみられ、そのうちの5名ではDQ 75以上を示した。言語領域では、言語理解で10か月以上の発達がみられたものが17名、言語表出では12名みられた。CARS得点が30得点を超える自閉症児群ではDQの変化とCARSとは負の相関があり、CARSの得点が高いほどDQの変化は少なくなる傾向がみられた。また、家庭での療育時間はほとんどの家庭で20時間以内であった。本研究で用いられた方法は、言語発達に関しては自閉症かどうかにかかわらず有効であるが、自閉症児の全体的な発達を促進するには不十分であると考えられた。本研究で報告した実践をもとに、早期家庭療育の重要性と家族支援のあり方について論じた。
  • 佐藤 容子
    原稿種別: 本文
    2002 年28 巻2 号 p. 111-122
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究は、学級内で仲間達から拒否されている6歳の学習障害児の仲間関係を改善するために、コーチング法を用いた社会的スキル訓練を実施した。訓練前の教師評定と行動観察によると、対象児は仲間との間で、適切なやり取りが少なく、不適切(攻撃的および引っ込み思案的)なやり取りが多かった。訓練は、1回につき約60分間で、特別な訓練室の場面で5セッション、自由遊び場面で4セッション、合計9セッション行った。その結果、ターゲット児の不適切(攻撃的または引っ込み思案的)なやり取りは、教師評価と行動観察のいずれにおいても、訓練とともに減少した。好意的やり取りは行動観察においてのみ増加がみられた。エントリースキルについては明らかな訓練効果はみられなかった。また、本訓練によって、SCR尺度でみた自己コントロールが改善した。
  • 増田 智美, 長江 信和, 根建 金男
    原稿種別: 本文
    2002 年28 巻2 号 p. 123-135
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では、大学生の怒りに対する認知行動療法(CBT)、すなわちISST(inductive social skills training)の効果と同時に、個人差である怒りの表出傾向が介入効果に相違をもたらすかどうかを検討した。被験者は、怒りの特性が高く、かつ怒りの表出傾向の高い者(AO高者)と怒りの抑制傾向の高い者(AI高者)の計42名であった。 AO高者とAI高者それぞれを、 CBT群と統制(Ctrl)群に割り当て、2つのCBT群には、怒りの行動的反応を標的とするCBTを4週間実施した。その結果、 Ctrl群と比較して、CBT群では、介入直後の怒りの特性だけでなく、敵意や不安においても有意な低減がみられ、その効果は3か月後のフォローアップ時でも維持されていた。また、表出傾向別にみると、怒りの表出傾向が高い被験者のほうが低い被験者よりも効果が著しかった。怒りを表出する傾向の高い被験者には、行動的反応を標的としたCBTが有効であることが判明した。 CBTを施す際に、怒りの表出傾向まで考慮することの意義が示唆された。
  • 岡村 寿代, 佐藤 正二
    原稿種別: 本文
    2002 年28 巻2 号 p. 137-147
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では、攻撃的な幼児を対象として、社会的スキル訓練(SST)を実施し、訓練の般化効果について検討した。さらに、訓練に参加した仲間が訓練対象児の社会的スキルの獲得にどのように貢献しているのかを検討した。3つの標的スキル(エントリースキル、適切なやりとりスキル、断られたときの対処スキル)を訓練するために16セッションからなる個別SSTが行われた。その結果、訓練対象児は、仲間に対する社会的働きかけ、仲間からの社会的働きかけを増加させ、攻撃行動を減少させた。さらに3か月後にもこれらの訓練効果が維持していることが示された。また、訓練対象児は仲間協力児だけではなく、訓練に参加していない仲間へも社会的働きかけを向けていたことが確認された。一方、訓練に参加した仲間の役割については、この仲間協力児も訓練対象児と持続的にやりとりをしていなかったことが明らかになった。
  • 原稿種別: 付録等
    2002 年28 巻2 号 p. App1-
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
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