行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
発達障害児の早期家庭療育の成果の検討(実践研究,<特集>障害児の積極的行動支援)
谷 晋二
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 28 巻 2 号 p. 97-109

詳細
抄録

本研究では、発達障害をもつ19名の子どもの家族に早期家庭療育として、行動理論に基づく指導を実施した結果を検討した。指導は、谷(1998,2001)の方法によって行い、発達指数の変化、言語理解、言語表出領域の発達年齢の変化、言語獲得に関するチェックリスト、小児自閉症評定尺度(CARS)、および家庭療育に関するアンケートの結果をデータとして収集した。その結果、11名の子どもで基礎的な言語理解、命名、マンドが獲得され、8名の子どもでDQの上昇がみられ、そのうちの5名ではDQ 75以上を示した。言語領域では、言語理解で10か月以上の発達がみられたものが17名、言語表出では12名みられた。CARS得点が30得点を超える自閉症児群ではDQの変化とCARSとは負の相関があり、CARSの得点が高いほどDQの変化は少なくなる傾向がみられた。また、家庭での療育時間はほとんどの家庭で20時間以内であった。本研究で用いられた方法は、言語発達に関しては自閉症かどうかにかかわらず有効であるが、自閉症児の全体的な発達を促進するには不十分であると考えられた。本研究で報告した実践をもとに、早期家庭療育の重要性と家族支援のあり方について論じた。

著者関連情報
© 2002 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top