患者は40歳代前半の女性。双極II型障害の大うつ病エピソードのため出勤できなくなり、やがて一人暮らしであるのに買い物に行くことさえもできず食欲も低下していったため任意入院となった。入院後約1カ月が経過してもベッドで横になったままの状態が続いていたため、薬物療法に加え行動活性化を施行した。機能分析に基づき、楽しみ、喜び、達成感が得られる活動や復職につながる活動を徐々に増やしていくことによって、大うつ病エピソードが寛解し復職が可能となった。行動活性化は行動パターンを変えることによってうつ病を改善していく技法であり、行動療法の一技法である。双極性障害に対する精神療法に関する研究は少ないが、双極性障害の大うつ病エピソードに対して、特に復職を目指している双極性障害の大うつ病エピソードの患者に対して行動活性化が有効であることが本症例により示唆された。