抄録
本研究では,小学校で外国語活動を担当する学級担任教師が抱える授業指導不安に関わる因果モデルを解明し,現職教員研修プログラムのカリキュラム内容の検討に必要な資料を得ることを目的に,10 年経験者研修等に参加した小学校教師223 名から得た不安尺度項目を用いた質問紙調査によるデータを分析した。その結果,7 つの有意な不安因子を抽出し,探索的なパス解析により適合度の高いモデルを構築することができた。これにより,外国語活動の授業指導不安は,『英語運用能力についての自己有能感の低さ(パーソナル不安)が,教授内容に関わる「英語不安」を生み出し,英語指導力の不安(コンテンツ不安)の原因となり,それが授業実践場面での「指導不安」に影響を及ぼす。その結果として,外国語活動に関わる授業指導不安と授業設計不安(プロフェッショナル不安)が生じる。』という一連の因果モデルとして説明できることが確認された。この因果モデルから,外国語活動に関わる現職教員研修プログラムの内容について考察を行った。