抄録
本研究の目的は,実際に阪神・淡路大震災で心理的援助を受けた人,または援助した人に対して調査を実施し,被災者にとってどのような援助が有効であり,求められているのかを知ることである。PAC 分析という構造化された面接手法を用いて検討した結果,体験の言語化において強制的な語りについては被災者は肯定的な感情を持たないことが示唆された。一方で,書くことについては強制的なものを含めて必ずしも否定的にならないことも示唆された。また、生活できる日常を取り戻すことや、援助者がそばにいることで孤独感を軽減することなどの大切さも示された。さらに,被災者のニーズと行われた援助の間にズレもみられたことなどから,援助者にとって,被災者のニーズや状況に応じた支援の方法や知識を身につけておくことも必要と考えられる。