抄録
本研究では,免許状更新講習の場を活用した,領域「人間関係」に関わる保育者支援プログラム(西山,2009)の簡易実施の効果を検討した。本支援プログラムは,子どもの人とかかわる力を如何に育むかという緊切の課題に対して,尺度を活用した診断的評価,適切な目標設定,及び自己観察等により,「子どもの人とかかわる力の育ちに望ましい変化を与えることができる」という保育者の実現可能性の認知を肯定的な方向に変え,保育実践の質的向上を目指すものである。西山(2009;2012)では既に,本支援プログラムが領域「人間関係」に関わる保育者効力感の向上に有効であることが実証されているが,その効果は免許状更新講習のような一時的な集団における部分的実施によっても見られるか,様々な観点から検証した。その結果,研修を半分に割愛した簡易な実施にもかかわらず,本支援プログラムは,「人間関係」保育者効力感の向上に有効であることなどが明示された。最後に,本研究の結果を踏まえて,保育者支援の観点から,若干の考察と今後の課題を述べた。