抄録
本研究では,生徒の運動部活動に対する動機づけとオーバーコミットメントについて,生徒の認知する指導者像ごとにその特徴を調べることを目的とした。高校運動部所属の男子813 名に対して質問紙調査を行い,生徒の認知する指導者像と部活動に対する動機づけおよびオーバーコミットメントについて回答を求めた。生徒の動機づけを尋ねる項目に対する因子分析より得られた,自律的動機づけと他律的動機づけの両下位尺度得点,さらにオーバーコミットメント得点について,生徒の認知する指導者像ごとに比較した。結果より,両高型では,自律的動機づけも他律的動機づけもともに高く,その取り組みはオーバーコミットメントの可能性が高いことが示唆された。反対に,統制型と両低型では,自律的動機づけも他律的動機づけも低く,オーバーコミットメントの可能性は少なかった。最後に,受容型では,両高型に次いで自律的動機づけは高かったが,他律的動機づけは低かった。そして,オーバーコミットメント傾向はみられなかった。