応用教育心理学研究
Online ISSN : 2436-6129
Print ISSN : 0910-8955
31 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 荊木 まき子
    2015 年 31 巻 2 号 p. 3-16
    発行日: 2015/01/31
    公開日: 2023/04/24
    ジャーナル フリー
     スクールカウンセラー(以下SC)が導入されて約20 年になる。学校は他職種協働を前提とした組織の在り方が問われている。本論文の目的は,教員見地より,SC との協働先進校の組織改革の過程,支援体制の特徴,促進要因を探索することである。方法として,SC との協働先進校の教員3 人に面接調査を行い,グランデッド・セオリーを用いて分析を行った。その結果,組織改革以前はSC と一部の教員間の協働に留まっていたが,支援会議の設置,校務分掌の整理,ボランティア組織の設立により,学校全体での協働が可能になった。SC との協働先進校の促進要因として,情報共有の場の設定,専門性・役割に応じた役割・仕事の設定,明確なビジョンの上での組織開発(管理職のリーダーシップ)が示唆された。
  • 龍 祐吉, 河野 順子, 小川内 哲生, 浜崎 隆司
    2015 年 31 巻 2 号 p. 17-27
    発行日: 2015/01/31
    公開日: 2023/04/24
    ジャーナル フリー
     学業的延引行動は,学業的に習得及び遂行しなければならないことを不本意ながらも遅らせることであり,大学生にとって深刻な問題である。しかし,学業的延引行動と自我同一性との関係について,これまで比較的注目されていなかった。学業的延引行動に関する青年期特有の要因について明らかにするために,総計354 名の大学の教育学部かまたは看護専門学校に在籍する学生に,学業的延引行動及び同一性地位測定尺度に回答してもらった。その結果,以下の2 点が明らかとなった。(1) 学業的延引行動に対して,現在の自己投入と将来の自己投入の希求は,有意な先行要因であることが示されたが,過去の危機との間には有意な関係は認められなかった。(2) 提出間際までに不必要に課題を遅延する行動は,同一性地位が成熟するに連れて緩和するという先行研究(Shanahan & Pychyl,2007) の報告は必ずしも支持されないことが示唆された。本研究の結果の理論的及び教育的意義,そしてまた今後の課題について討論した。
  • 小川内 哲生, 浜崎 隆司
    2015 年 31 巻 2 号 p. 29-38
    発行日: 2015/01/31
    公開日: 2023/04/24
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,高校生における学業的満足遅延に及ぼす動機づけ,学習方略の影響を明らかにすることであった。417 名の高校生に4 つの尺度について回答するよう求めた。その結果は以下の通りであった。(1)学業的満足遅延は自己効力感,自己調整学習方略,動機づけと正の相関がみられた。(2)学業的満足遅延はテスト不安と正の相関がみられた。(3)学業的満足遅延高群は自己効力感,動機づけ,自己調整学習方略が学業的満足遅延低群よりも有意に高かった。(4)学業的満足遅延に性差はみられなかった。先行研究との関係を検討しながら,これらの結果について考察を行った。
  • 松井 幸太
    2015 年 31 巻 2 号 p. 39-50
    発行日: 2015/01/31
    公開日: 2023/04/24
    ジャーナル フリー
     本研究では,生徒の運動部活動に対する動機づけとオーバーコミットメントについて,生徒の認知する指導者像ごとにその特徴を調べることを目的とした。高校運動部所属の男子813 名に対して質問紙調査を行い,生徒の認知する指導者像と部活動に対する動機づけおよびオーバーコミットメントについて回答を求めた。生徒の動機づけを尋ねる項目に対する因子分析より得られた,自律的動機づけと他律的動機づけの両下位尺度得点,さらにオーバーコミットメント得点について,生徒の認知する指導者像ごとに比較した。結果より,両高型では,自律的動機づけも他律的動機づけもともに高く,その取り組みはオーバーコミットメントの可能性が高いことが示唆された。反対に,統制型と両低型では,自律的動機づけも他律的動機づけも低く,オーバーコミットメントの可能性は少なかった。最後に,受容型では,両高型に次いで自律的動機づけは高かったが,他律的動機づけは低かった。そして,オーバーコミットメント傾向はみられなかった。
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