抄録
本研究では,幼稚園での集団活動における幼児同士のどのようなやりとりが,自尊感情育ちに繋がっているのかについて検討した。5歳児を対象とした事例記録から,以下3点のことが示唆された。
1. 幼児はやりとりの際,自分の思いを様々な形で主張し,互いに葛藤を経験していること。
2. 葛藤を乗り越えるためには,共感できる友達や保育者の支えが必要であること。
3. 幼児が,葛藤を乗り越え遊びの中に役割を見つけながら,自分や友達のよさに気付くことが「ありのままの自分でよい」という自尊感情を育んでいくこと。である。
また,研究を進める中で,保護者の自尊感情の育ちと幼児の自尊感情の育ちとの関連も示唆されている。