応用教育心理学研究
Online ISSN : 2436-6129
Print ISSN : 0910-8955
33 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 龍 祐吉, 小川内 哲生, 浜崎 隆司
    2016 年33 巻1 号 p. 3-14
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2023/04/07
    ジャーナル フリー
    重要な学業的課題を不必要に遅延する大学生は,学業成績の不振や心理学的幸福感を脅かすという大きなリスクを抱えた状態であることが報告されている。セルフ・コンパッションは学業的延引行動を抑止することが示唆されている(Neff,2011)。本研究の主な目的は自己効力感と自律的動機づけを媒介として,セルフ・コンパッションの3 つの下位尺度( 自分へのやさしさ, 共通の人間性,マインドフルネス) と学業的延引行動との関係を検討することであった。246 名の大学生にセルフ・コンパッション,自己効力感,自律的動機づけそして学業的延引行動の尺度からなる質問紙に回答を求めた。その結果,セルフ・コンパッションの3つの下位尺度ごとに学業的延引行動との関係が異なっていること,そして学業的延引行動を緩和あるいは抑制するために,とくに,マインドフルネスを促すことが有益であることが示された。これらの結果の理論的そして実践的意味と今後の研究について討論した。
  • 加藤 孝士
    2016 年33 巻1 号 p. 15-24
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2023/04/07
    ジャーナル フリー
     本研究では,青年期の学生を対象に,内的作業モデル(Internal Working Model:IWM) と日常生活スキル(Daily life skill:DLS)の関係を主観的幸福感(Subjective Well-being) の観点から検討した。調査対象者は,255 名であった。その結果,内的作業モデルが安定型(自己観と他者観がポジティブ)の学生は主観的幸福感が高いことが示された。続いて自己観がポジティブな学生は,自らの能力に関するスキルが高かった。また,他者観がポジティブな学生は,人間関係を円滑に図る能力が高かった。続いて主観的幸福感を統制した状態でIWM がDLS に与える影響を検討した。その結果,IWM は多くの日常スキルへの直接的な影響が確認できなかった。よって,IWM がDLS に与える影響は直接的な影響は少なく,SWB を媒介し影響を与えていることが示唆された。
  • 河野 順子, 龍 祐吉
    2016 年33 巻1 号 p. 25-35
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2023/04/07
    ジャーナル フリー
     本研究は,正規の保育実習を視野に,大学入学早期から段階的に構成された実習体験の効果について,保育者効力感と実習認知の変化を指標として用い検討することであった。また,それらの変化に透過性調整力と非機能的態度が及ぼす影響についても検討し,保育実習指導の示唆を得ることも目的とした。保育を専攻する大学2 年生43 名(男11 名,女31 名,不明1 名)を対象に,地域の子ども子育て支援センターでの実習前後に,透過性調整力,非機能的態度,保育者効力感,実習認知を測る質問紙を実施した。その結果,保育者効力感については有意な変化は認められなかったが,実習の認知は否定的認知が減少し,肯定的認知が増加していた。実習前に否定的な認知をする程,実習後の否定的認知が増加していた。透過性調整力が高い程実習前の保育者効力感を高め,否定的認知を低減させていた。非機能的態度のうちコントロールする態度は保育者協力感を高める方向に影響を与えていた。これらのことから,保育実習指導上の課題を論じた。
  • 勝浦 美和
    2016 年33 巻1 号 p. 37-48
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2023/04/07
    ジャーナル フリー
    本研究では,幼稚園での集団活動における幼児同士のどのようなやりとりが,自尊感情育ちに繋がっているのかについて検討した。5歳児を対象とした事例記録から,以下3点のことが示唆された。 1. 幼児はやりとりの際,自分の思いを様々な形で主張し,互いに葛藤を経験していること。 2. 葛藤を乗り越えるためには,共感できる友達や保育者の支えが必要であること。 3. 幼児が,葛藤を乗り越え遊びの中に役割を見つけながら,自分や友達のよさに気付くことが「ありのままの自分でよい」という自尊感情を育んでいくこと。である。  また,研究を進める中で,保護者の自尊感情の育ちと幼児の自尊感情の育ちとの関連も示唆されている。
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