抄録
必要に応じて他者に助けを求めることを援助要請行動という。それに影響を与える要因の一つに,援助を求めるかどうかについての認知的枠組みである被援助志向性が挙げられる。本研究では,養育者の被援助志向性の特徴を見出し,育児不安や身近な人からのサポート,地域支援活動への参加意識との関連を明らかにすることで,効果的支援のあり方を検討することを目的とした。養育者296 名に質問紙調査を行った結果,次のことが示された。まず,養育者の被援助志向性は,他者から援助を受けることに対して抵抗感を覚える「援助に対する抵抗感」と,他者に援助を積極的に求める「被援助欲求」の2 因子構造であることが確認された。また,被援助志向性の下位尺度を高低群に分けた特徴ごとに,育児不安や身近な人からのサポートの捉え方,地域支援活動参加に対する認識が異なっていること,それぞれの養育者に効果的な支援の可能性が示唆された。