応用教育心理学研究
Online ISSN : 2436-6129
Print ISSN : 0910-8955
育児不安を抱える保護者が示す保育者への役割期待
大森 弘子
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2017 年 33 巻 2 号 p. 15-26

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抄録
近年,家族を取り巻く社会環境の変化により,保護者の育児不安が高まっている。本研究は,保護者の育児不安と子育て支援に関わる保育者への役割期待を解明することが目的である。具体的には,幼稚園・保育所の保護者772 名を対象に,保護者の育児不安を,育児状態( 就労,趣味の時間等),幼稚園・保育所への満足度,子育て支援に関わる保育者への役割期待等との諸関係において検討した。その結果,以下の4点が明らかとなった。1)無職の保護者は育児不安が高く,趣味の時間が短い保護者は育児不安が高かった。2)保護者の幼稚園・保育所への満足度は,育児不安の高低にかかわらず高かった。3)保育者への役割期待の内容は,「連携と個別支援」「家庭への援助・相談」「社会への発信・継承」の3つと見ることができる。4)保護者の役割期待は,特に「連携と個別支援」「社 会への発信・継承」において高かった。これらの結果を踏まえ,子育て支援に関わる保育者の役割と今後の研究課題等について討議した。
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© 2017 日本応用教育心理学会
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