応用教育心理学研究
Online ISSN : 2436-6129
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保育者の専門性再考 −「保育者における適性の同心円モデル」の構築 −
金子 智昭
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2021 年 38 巻 1 号 p. 77-94

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抄録

本研究の目的は,適性の理論から保育者の専門性を再検討するとともに,専門性を包括的かつ体系的に捉えるための統合モデルを構築することである。第一に,産業・組織心理学における職業適性について説明し,保育者の専門性を捉えるうえで,「適性の3 側面モデル」(大沢, 1989)を活用することの有益性と問題点を指摘した。第二に,適性の3 側面モデルに階層性の構造を適用した「保育者における適性の同心円モデル」(同心円モデル)を構築し,モデルの作成手続きと概要を説明した。第三に,同心円モデルにおける能力的適性(表層),態度的適性(中層),性格的適性(核層)に基づき,専門性の概念を具体的に取り上げ,そこで展開されている研究概要を述べた。同心円モデルが構築されたことで,これまで拡散していた専門性の概念が一定の方向性に収束され,専門性に関する研究の進展の素地が形成された。今後の課題として,同心円モデルの妥当性を検討するとともに,保育者の態度的適性に関する研究を推進することが指摘された。

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© 2021 日本応用教育心理学会
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