抄録
本研究は,ウェクスラー式児童用知能検査について,院生が現場に出る前に,検査施行から結果の伝え方まで実践的かつ相互研鑽しやすい形で学べるプログラムの開発を目指し,第一段階としてプログラムを設計の上,試行した。プログラムの振り返りと参加者アンケートの分析の結果,以下のことが明らかとなった。①本プログラムの種々の工夫が活かされ,院生がWISC- Ⅳを実践的で相互研鑽しやすい形で学べたようであった。②長時間の複雑な学習にも関わらず,アクティブラーニングが集中しやすさを高めたようだった。③グループ活動に,リラックスした環境を作り,学習目標の達成を容易にする機能がみられた。④本プログラム独自の検査施行ロールプレイは,院生の自尊心の傷つき防止や,受検者となる児童の身になって考える機会としても役立つことがうかがわれた。今後は,プログラムを,WISC- Ⅳの理論面の理解の向上や参加者の疲労への留意といった点を中心に改善し,指示も明確で具体的になるように工夫の上,調査を,実践的で相互研鑽しやすいという狙いを精査できるデザインに改善し,効果研究も展開することが期待される。