抄録
本研究では,中学3年生63人を対象に社会科の学習方略が社会科学習への動機づけに及ぼす影響について検討を行った。学習方略の下位尺度として,体制化方略,対話方略,モニタリング方略,計画方略が,動機づけ方略の下位尺度として,内的調整,同一化的調整,取り入れ的調整,外的調整が含まれた。相関分析の結果,全ての学習方略と内的調整,同一化的調整が有意な相関を示した。重回帰分析の結果,体制化方略と対話方略が内的調整と同一化的調整に正の影響を与えていた。これらの結果から,自律的な学習動機づけの向上には,体制化方略や対話方略が有効であるという示唆が得られた。最後に,本研究の成果をふまえ授業改善についての考察と今後の課題を述べた。