応用教育心理学研究
Online ISSN : 2436-6129
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学業的満足遅延行動に及ぼす内的作業モデル,セルフコンパッション,学業的動機づけの影響
龍 祐吉小川内 哲生
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2024 年 40 巻 2 号 p. 23-38

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抄録
本研究の目的は学業的満足遅延行動に及ぼす内的作業モデル,セルフコンパッション,自己効力感及び自律的動機づけの影響について検討することであった。大学生170 名(男41 名,女128 名,不明1 名)に自己報告的な質問紙を実施して回答を求めた。共分散構造分析によるパス解析の結果,内的作業モデルと学業的満足遅延との関係はセルフコンパッション,自己効力感及び自律的動機づけによって媒介されることが見出された。より詳細に言及すると,自己観がポジティブであるほど,そして他者観がポジティブであるほど,セルフコンパッション,引き続いて自己効力感並びに自律的動機づけが促されることを通じて学業的満足遅延行動が高まることが見出された。本研究の結果と先行研究の結果との整合性について言及した。また今後の課題としてモデルの説明率を高めるために失敗経験の要因と認知的方略やメタ認知的方略要因の検討の必要性,さらには精確に因果的関係を検討するためにパネル分析や実験的調査方法の必要性について言及した。
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© 2024 日本応用教育心理学会
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