抄録
社会環境の変化に伴い,地域の子育て支援事業が予防的効果を発揮することが期待されている。本研究では,利用者が地域の子育て支援事業を利用する初期段階で求めるものについて明らかにするとともに,継続的利用が促されるための要因を検討することを目的とした。予備調査で得られた結果をもとに「利用時に求めるもの」を作成し,0~2歳の子どもをもつ母親を対象にした調査を行い,利用頻度や利用目的との関連から継続的利用に必要な環境整備要因を検討した。その結果,0歳児の母親の利用促進には,利用施設の安全性が伝わるような広報が有効であること,2歳児の母親の利用促進には,積極的な関わりやスタッフの在席状況を周知する等の対応が有効であると示唆された。また,利用目的が母親同士の交流の場合,子どもが楽しめる環境やスタッフのファシリテーター的役割への期待があり,ひとりでゆっくりできる場を求めている場合,スタッフの親近性
や安全面を重視していることが示唆された。