抄録
本研究では,教職実務を一時中断するのではなく,フルタイム勤務を継続しながらオンライン学習を並走させる教職大学院「遠隔教育プログラム」受講者の学習行動の実態と学習行動に影響を与える要因を探索した。想起バイアスを抑制し現象をリアルタイムに把握するため経験サンプリング法を用いて測定を実施した。経験サンプリング法が生成するマルチレベルデータの解析に適した階層線形モデルを推定したところ,管理職業務等が学習を阻害する傾向はみられなかったが,勤務があることで学習頻度が低下した。学習環境としては,指導教員とのコミュニケーションが学習充実度を強く左右することがみえてきた。そして日常ストレスとして,健康状態が学習充実度を阻害する一方,職場の人間関係が不良である場合に,学習の充実度が向上する傾向が認められた。この点は生涯学習の効果性の観点から考察された。本データから指導教員を中心に,アドバイザー等が学習のペースメイク,健康状態への配慮等,総合的な支援を提供することの重要性と効果性が示唆された。