抄録
本論では,長年課題とされてきた保育者の離職に関する学術論文を,量的研究と質的研究に分けて概観し,保育者の離職に関する研究の研究動向と課題について検討した。分析の結果,まず,量的研究と質的研究両方において,離職経験者本人を対象とした研究では,離職の要因として,職場の人間関係や労働条件等が多く挙られていた。次に,質的研究では,複数の研究から,保育者が離職に至る経緯は複雑で,様々な要因が絡み合っており,重層性を有することが示唆された。離職防止策としては,新人教育体制や同僚性が機能するような職場風土の構築等,組織全体としての改革の必要性が示唆された。最後に,以上の所見を前提に,結婚や妊娠,出産等のライフイベントによる離職に関する詳細な検討の必要性,勤務継続の要因に関する研究の蓄積の必要性,保育現場における組織マネジメントに関する研究の蓄積の必要性を指摘した。