在宅薬学
Online ISSN : 2434-5288
Print ISSN : 2188-658X
症例報告
終末期在宅医療においてケミカルコーピングが疑われ,多職種連携および薬学的介入により医療用麻薬を適正に使用して不安を軽減した1例
古澤 ひかり宮坂 善之橋村 恵子髙橋 祐美
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2023 年 10 巻 1 号 p. 61-67

詳細
抄録

要旨:近年,在宅医療のニーズは益々高まっており最期は自宅で迎えたいという要望も高い.今回,在宅看取りを希望されて終末期管理を行う中で,医療用麻薬の使用に関する問題としてケミカルコーピングが疑われた症例を経験した.患者は在宅で過ごす中で,夜間の不安と不眠による精神的苦痛に対してオキシコドン塩酸塩散を服用していたが,多職種の情報共有と薬学的介入により対処方法を検討して重篤な副作用を回避した.ケミカルコーピングは乱用や依存の前段階として考えていくことが重要であるが,報告は少なく見過ごしている可能性もある.在宅医療では身近に医療従事者が常にいる訳ではないため,不安も大きく気持ちの拠り所としてケミカルコーピングに陥る可能性が高いかもしれない.したがって,終末期在宅医療において患者や家族が安心して過ごせるよう,それぞれの職種の視点で連携して対応していくことが重要である.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人日本在宅薬学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top