抄録
文化言語的に多様な背景をもつ人口が40%以上を占めるカリフォルニア州では,バイリンガル環境で育つ子どもや母語が英語以外の言語である子どもに言語評価を行う機会が多い。本稿では,筆者がアメリカ言語聴覚士学会(ASHA)認定スピーチパソロジストとして勤務していた小児発達クリニックでの事例を通じて,多文化多言語児童への言語評価の現状と課題について論じた。多文化多言語児童に言語評価を行う際には,言語能力を両言語の語彙力から測定することの重要性と,英語の標準化言語検査ツールを第2言語の言語力評価に活用する際の注意点を考慮した。そして,家族が子どもの言語発達に対して正しい認識をもてるよう,啓蒙・啓発活動にも力を入れた。