抄録
場面緘黙(SM)の背景には多様な問題が存在している。本研究の目的は,SM 症状に影響する背景要因を,併存症のないSM 児の「相対的に高いコミュニケーション力を示す群」および自閉スペクトラム症(ASD)が併存する可能性のあるSM 児の「相対的に高い自閉症特性を示す群」のそれぞれに検討することであった。SM 症状(SMQ-R)を目的変数,自閉症特性(SCQ),コミュニケーション力(CCC-2 のGCC),不安症状(SCAS)を説明変数としてパス解析を実施した。その結果,「相対的に高いコミュニケーション力を示す群」ではSCQ からのパスが有意であった。併存症のないSM 児では,SCQ によって自閉症特性と似た非言語的なSM 症状が評価され,それが言語的なSM 症状と関連する可能性が示唆された。「相対的に高い自閉症特性を示す群」ではGCC からのパスが有意であった。ASD が併存するSM 児はGCC が低く,コミュニケーション力が低い場合にはそれがSM 症状に影響すると考えられた。