抄録
2歳代の「言葉の遅れ」が個人差の範囲内なのかそれとも後の言語発達障害の兆候なのかを鑑別するための手法として,近年海外でsentence diversity による言語発達評価が提唱されている。これを日本で応用するため「日本語版文の多様性による早期言語発達評価法」を開発し,30 カ月児36 名,36 カ月児45 名の定型発達児および6名の言語発達障害リスク児のデータを収集し,妥当性の検討を行った。定型発達児の文の多様性と,従来の文法発達指標である文表出数および形態素平均発話長との間に強い正の相関が見られた(30 カ月:r=.827,r=.701,36 カ月:r=860,r=568)。一方,言語発達障害リスク児は定型発達児に比べて文の多様性が少なかった。文の多様性は2歳代の文法発達を評価する方法として妥当性が高いことが示唆されたが,36 カ月児ではばらつきも大きく,今後さらに月齢別のデータを収集する必要があると考えられた。