抄録
本研究の目的は,地域在住失語症者の抑うつ症状に関連する要因を明らかにすることである。発症から6 カ月以上経過した地域在住の失語症者およびその主たる介護者,支援者41組を対象に,行動観察質問紙であるThe 10-item Stroke Aphasia Depression Questionnaire日本語版(J-SADQ10)を用いて失語症者の抑うつ症状を評価するとともに,ICF の枠組みに基づき失語症者の言語機能や他の身体構造・心身機能,活動,参加,個人因子,環境因子の各側面と抑うつ症状の関連について検討した。その結果,J-SADQ10 と同居家族数(r=.464,p=.002),および環境因子の評価であるCraig Hospital Inventory of Environmental Factors日本語版Ver.2(CHIEF 日本語版Ver.2)(r=.538,p<.001)との間に有意な正の相関が認められた。地域在住の慢性期失語症患者においては,環境因子への介入を行うことで抑うつ症状を軽減できる可能性が示された。