抄録
農村で暮らした子ども時代に「男尊女卑はなぜ」という疑問を抱き,その言葉が心の中で燻っていた。重症心身障害児との出会いで,「人はみな平等,対等」という気づきを得た。その気づきは私を育て,障害児医療は人全体を見るという視点につながった。重度の知的障害と運動障害を併せ持った重症心身障害児・者のコミュニケーションは有意語がなくとも,声で,表情で,体全体で喜怒哀楽を表現する。特別支援学校の個別指導で,表現力,社会性,人を信頼し,人に伝える力が飛躍的に伸びる。成人になってから,ゆっくり花開く。キラキラした青春を人の手を借りて,皆と同じに,自立していく。命は長さだけではないという母親たちの言葉から,豊かに生き果たすことの大切さを教わった。