聴能言語学研究
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舌の突出現象(Tongue Thrust)の症状と経過
水谷 素子山本 晴美
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1994 年 11 巻 2 号 p. 65-69

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抄録

発話時にのみ舌の異常運動を呈するtongue thrustの21歳女性症例を報告した.tongue thrust症状の詳細を明らかにするために,この症例に復唱検査を行い,舌の異常運動の型,出現率を分析した.舌の異常運動は「突出」「前突」「挙上」「移動」「その他」の5型に分類された.舌の異常運動は発症6ヵ月時点で「突出」型が加わり,その頻度は増加した.しかし,その後症状は軽快し,発症8ヵ月時点で異常運動はほぼ消失した.tongue thrustについてはその原因,症状ともに不明な点が多いが,舌の異常運動の出現しやすい状況には山本,河村(1992),矢野,飯田,牛島(1979)の報告との共通性が見られた.症候学的分析に加えて,舌の異常運動の軽減を目的に自律訓練法,音読訓練法を行い,その経過を観察した.本症例は発症8ヵ月時点で症状は消失したが,訓練の有効性については不明であった.

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