抄録
失語症は完全に治癒することがない.ことばの障害をかかえて生活をしていかなければならない.一定の期間言語治療を受けた後,その後の生き方によって障害を受容し,かつ積極的に生きていくことが求められる.そのために失語症友の会が存在し,これは各地で広がっている.しかし,もっと毎日を生き生きと暮らす,継続的に仲間作りをしてコミュニケーションをはかっていく場が必要である.「つくし工房」は,そういう目的のために作られた作業所である.毎日通所し,作業や趣味活動を通して,さまざまな刺激を受けることにより,コミュニケーションの改善をはかることができる.失語症をかかえながらも,それを支障と感じず人の輪を広げていくことのできる「つくし工房」の役割は大きい.