抄録
脳性まひ児は出生時より肢体不自由のため身体概念の発達が遅れているとみなされている。本研究は肢体不自由養護学校の低学年に在籍する脳性まひ児39名を対象に行った身体概念の発達に関する調査報告である。各被験児は個別に身体概念の発達、肢体不自由程度、過去の訓練歴、理解語彙年齢について検査と評価を受けた。結果の主なものは下記の通りである。
1.脳性まひ児における身体概念の発達と語彙年齢との間には有意な相関が認められるが、生活年齢や肢体不自由程度との間には認あられなかった。
2.脳性まひ児の中で早期(0-1歳)に訓練を受けた者は身体概念の発達が良好との傾向がみられた。
3.本研究と同じ調査法を用いた健常児120名の調査(弓削、1980)では、身体概念は2歳から3歳にかけて急速に発達し、4歳から5歳にはほぼ確立する傾向を報告しているが、今回調査した脳性まひの場合、CA、VAのばらつきが大き過ぎて健常児群にみられた発達傾向は認められなかった。