抄録
失語症が、言語訓練によってどこまで回復していくのかを探るには、長期の追跡が必要と考える。
そこで、失語症発症後1年以上経過後に訓練を開始し、発症後3年以上になる5名(A群)と、発症後早期より3年以上訓練を継続している8名(B群)の計13名の言語症状の経時的変化を、SLTAの総得点、及び、モダリティ別得点により考察した。
1.訓練開始12ヵ月間は、発症後の経過月数の長短にかかわらず、A群、B群ともに顕著な改善がみられた。
2.B群は、訓練開始12ヵ月を過ぎると、6~12ヵ月程の停滞期の後、再び明らかな改善が現われそのまま継続された。
以上の点から、失語症発症後の経過月数にかかわりなく訓練を行うことの必要性と、発症後早期より、少なくとも3ヵ年間は、訓練を継続することの有効性が示唆された。