抄録
第一次狂言ブームと第二次狂言ブームとの違いが,観客の層にある.それは,狂言の発祥と発展に大きく影響されており,現在の第二次ブームが,本来の狂言の形に近いと考えられる.また,狂言におけるせりふの特徴を,発声法・アクセントから分析した.そこから「言魂」とは何かを説明し,狂言など舞台上のせりふ(リズム・メロディー)との関係,舞台上の役者と観客とのコミュニケーション,「間」というものについて述べた.また,現代劇と古典劇の違い,生の舞台と映画やドラマ(モンタージュ芸術)の違いについて,「言魂」を引用しつつ考察し,最後に,伝統芸の教授法と伝承について触れた.