教科教育学コンソーシアムジャーナル
Online ISSN : 2758-6995
特集論文
教育課程の基準(学習指導要領)を教科教育学としていかに分析・評価するか ―「カリキュラム経験」研究の視角―
笹野 恵理子
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2023 年 1 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

本稿は,教育課程の基準(学習指導要領)を教科教育学としていかに分析・評価するか,という主題について,音楽科教育を事例に,「カリキュラム経験」研究の視角を提案するものである。「カリキュラム 経験」研究は,カリキュラムを「生きた姿」で,「生きられた」カリキュ ラムを把握しようとする。それゆえ学校成員が「経験」を編み上げる教育過程の動態に注目する。本稿では,「カリキュラム経験」研究の立場から,当事者の視点と関係性の文脈をカリキュラム研究に位置付ける必要性を主張するとともに,「カリキュラム経験」研究から示唆 されるカリキュラム評価の視点として,「目標準拠型」と「目標自由型」を併用する必要性を論じた。同時に長期的スパンに立った「生涯の学びの履歴」から学校卒業後の「カリキュラムの効果」を分析する評価視点の意義と可能性を示した。

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