2023 年 1 巻 1 号 p. 15-21
本稿では,算数・数学科を例にとり,教科のカリキュラムを教育をめぐるエコシステムの中で捉え,分析し,評価することの必要性について検討した。算数・数学科において,意図されたカリキュラムと実施されたカリキュラムの間には,ステークホルダーによって期待されているカリキュラムや教師によって協議されているカリキュラム等があり,相互に影響している様相を概観した。教育をめぐるエコシステムの更新や成長が早まってきており,教科教育学は,教科がそのシステムの中でどう機能しているかを評価するとともに,教科教育学の強みを活かし,学びの当事者である子どもの声も取り込みつつ,一人ひとりの学びの質を向上させるために,システムへいかに関与していくかを考えることが求められている。