本研究では,いじめに対する第三者の反応に影響する個人変数と状況変数を明らかにすることを目的とした。研究1では,いじめの加害者や被害者と第三者との親近性を操作したいじめ状況についての場面想定法を用いて,大学生213名(男性88名,女性125名)に自己申告による調査を実施した。その結果,第三者のいじめ歴に加えて,第三者の加害者や被害者との親しさがいじめに対する第三者の反応に影響を及ぼすことが示された。研究2では,第三者がいじめに介入することに対して異なった反応が予想される風土を提示した場面想定法を用いて,大学生141名 (男性49名,女性92名)に自己申告による調査を実施した。その結果,第三者の共感性やいじめ歴に加えて,風土が第三者の反応に影響を及ぼすことが示された。これらの結果からは,第三者のいじめ介入を促すためには,第三者の個人変数に加えていじめ場面の文脈変数を考慮すべきであることが明らかにされた。