犯罪心理学研究
Online ISSN : 2424-2128
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50 巻, 1 号
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資料
  • 藤野 京子, 長沼 裕介
    2013 年50 巻1 号 p. 1-13
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2017/07/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,いじめに対する第三者の反応に影響する個人変数と状況変数を明らかにすることを目的とした。研究1では,いじめの加害者や被害者と第三者との親近性を操作したいじめ状況についての場面想定法を用いて,大学生213名(男性88名,女性125名)に自己申告による調査を実施した。その結果,第三者のいじめ歴に加えて,第三者の加害者や被害者との親しさがいじめに対する第三者の反応に影響を及ぼすことが示された。研究2では,第三者がいじめに介入することに対して異なった反応が予想される風土を提示した場面想定法を用いて,大学生141名 (男性49名,女性92名)に自己申告による調査を実施した。その結果,第三者の共感性やいじめ歴に加えて,風土が第三者の反応に影響を及ぼすことが示された。これらの結果からは,第三者のいじめ介入を促すためには,第三者の個人変数に加えていじめ場面の文脈変数を考慮すべきであることが明らかにされた。

  • 荒井 崇史
    2013 年50 巻1 号 p. 15-25
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2017/07/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,犯罪に対する反応と一般的信頼,犯罪被害に対する楽観視との関連を検討することを目的に二つの調査を実施した。研究1では,3歳から12歳までの子どもを持つ母親 (N=1040)を対象にインターネット調査を実施し,研究2では,女子大学生 (N=216名) を対象に質問紙調査を実施して,それぞれ犯罪に対する認知反応(治安悪化認知,被害リスク認知),犯罪に対する感情反応(社会的不安,個人的不安),防犯行動,一般的信頼,そして犯罪被害を楽観視する傾向に回答を求めた。その結果,幼児を持つ母親においても,女子大学生においても,(a)犯罪被害楽観視と,犯罪に対する認知反応や感情反応,そして行動反応との間には負の関連が見られた。それに対して,(b)一般的信頼と犯罪に対する認知・感情反応との間には関連が見られず,むしろ一般的信頼が高いほど,防犯行動を多く実施していることが明らかとなった。

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