犯罪心理学研究
Online ISSN : 2424-2128
Print ISSN : 0017-7547
ISSN-L : 0017-7547
資料
犯罪者プロファイリングの信頼や期待に関するイメージ比較
倉石 宏樹渡邉 和美
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 56 巻 1 号 p. 61-75

詳細
抄録

近年,犯罪者プロファイリングはさまざまなメディアで誇張されて描かれている。本研究では,巷間で認知されている犯罪者プロファイリングのイメージを調査し,犯罪者プロファイリングの信頼や捜査支援技術としての期待にどのように影響しているかについて調査することを目的とした。犯罪者プロファイリングに関する専門性の段階としてプロファイラー,捜査員,一般人を対象に質問紙調査を実施した。犯罪者プロファイリングの結果に対する信頼と捜査支援技術としての期待への回答は専門性と関連しており,一般群が最も否定的な傾向であった。探索的因子分析の結果,三つの因子が抽出され(犯罪者プロファイリングの能力の理解,科学性の理解,既存捜査との差異の理解),信頼・期待への関連を想定した仮説モデルを構築し,構造方程式モデリングの多母集団同時分析によって専門性ごとの関連を評価した。その結果,信頼や期待への各因子からの影響は専門性と関連がなかったが,各因子の因子平均は専門性の低い群でより低い得点となり,不正確な情報をもとに期待や信頼を評価していることが示唆された。期待・信頼への各因子の示唆された影響に基づいた犯罪者プロファイリングの期待や信頼の向上について議論する。

著者関連情報
© 2018 日本犯罪心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top