2007 年 32 巻 2 号 p. 143-145
症例は66歳, 女性。主訴は左乳房腫瘤触知。既往歴として33歳時に右乳癌の診断で胸筋合併乳房切除術を受けている。1カ月前に左乳房に腫瘤を触知し, 近医受診。細胞診で悪性の診断を得たため, 当科紹介受診となった。触診上, 左乳房C領域に可動性のある直径2.0cmの平滑な腫瘤を触知した。マンモグラフィ検査では境界不明瞭で中心高濃度な腫瘤として描出され, Category IVと診断された。超音波検査では左乳房C領域に直径1.6cmのlow echoic massとして描出された。腋窩リンパ節の腫大は認めなかった。左乳癌 (T1N0M0=Stage I) の診断で乳房円状部分切除術+腋窩リンパ節郭清術を施行した。病理組織検査では髄様癌の診断であり, 腋窩リンパ節はlevel I (0/10), level II (0/3), ER (-), PgR (-), HER-2 Score 1であった。術後経過は良好であり, 第5病日に退院した。術後5年6カ月目の現在, 再発の徴候は認めていない。