抄録
症例は46歳の女性, 排便時に肛門から鶏卵大の腫瘤が脱出, 自己還納していたが2週間後に腹痛と下血が出現, 緊急入院した。腹部超音波, CT, MRI検査で下腹部に90×60mm程度の境界明瞭な腫瘤がみられ, 大腸内視鏡および注腸検査で直腸またはS状結腸の巨大脂肪腫による腸重積症を疑い, 開腹手術を施行した。腹膜翻転部から約20cm口側のS状結腸に重積を認め, 重積先進部は腹膜翻転部の肛門側にみられた。肛門側より用手的に腫瘤を口側に誘導して重積を整復し, S状結腸部分切除術を施行した。病理組織学的には, 粘膜下層を主体とする脂肪腫で, 異型性は認めなかった。S状結腸脂肪腫による腸重積症で腫瘤脱様の症状を呈した症例は稀であり, 若干の文献的考察を加えて報告した。