日本外科系連合学会誌
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症例
虫垂杯細胞カルチノイドの1例
鈴木 幸正中川 国利村上 泰介
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2007 年 32 巻 2 号 p. 197-200

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抄録

虫垂杯細胞カルチノイドの1例を経験したので報告する。症例は51歳の男性で, 右下腹部痛を主訴として来院した。急性虫垂炎と術前診断し, 虫垂切除術を緊急に施行した。切除標本では著明な炎症所見を認めたが, 腫瘤は指摘できなかった。しかし, 術後の病理組織学的検討で, 虫垂杯細胞カルチノイドと診断された。腫瘍細胞の漿膜表面にまで浸潤を認めたため, 術後30日目にリンパ節郭清を伴う回盲部切除術を追加施行した。術後の病理組織学的検討では, 腫瘍の遺残は認めなかった。術後1年4カ月を経過したが, 再発所見は認めていない。杯細胞カルチノイドはカルチノイド腫瘍の一亜型とされ, 生物学的悪性度が高く予後不良とされている。急性虫垂炎例においても, 切除標本の病理組織学的検査を必ず行う必要がある。

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© 2007 日本外科系連合学会
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