日本外科系連合学会誌
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症例
術前に3D Multi-Detector Row CTにて指摘しえたAdachi II型の破格と考えられた進行胃癌の1例
布部 創也大山 繁和徳永 正則比企 直樹福永 哲瀬戸 泰之山口 俊晴
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2007 年 32 巻 4 号 p. 654-656

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抄録

AdachiのII型は左胃動脈が独立して腹部大動脈から起こり, 肝脾動脈幹を形成するものである。単独分岐する左胃動脈の起始部は大動脈の正中, 腹腔動脈と同じ位置が多い。今回われわれは, 左胃動脈の起始部におけるAdachi II型の破格と考えられる非常に稀な症例を経験したので報告する。
症例は62歳, 女性。健診発見の進行胃癌。胃角部小彎のtype2病変。術前精査のCTにて, AdachiのII型様に左胃動脈が単独分岐していたが, その起始部は腹腔動脈とほぼ同じ高さで腹部大動脈の左側より分岐していた。手術は根治的に幽門側胃切除, D2郭清を施行した。術中の検索でも左胃動脈は腹腔動脈の高さで大動脈の左側寄りから分枝していた。左下横隔動脈ははっきりと認識できなかった。
下横隔動脈は腹腔動脈の高さから分岐することが最も多く, 大動脈左側方より分岐することがある。また左胃動脈と共通幹を形成することもありうる。今回の破格は腹腔動脈の高さで分岐した左下横隔動脈の分枝が発達したものではないかと推察した。

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© 2007 日本外科系連合学会
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