2007 年 32 巻 4 号 p. 657-660
症例は68歳, 男性。2006年2月他院にて血液透析中に突然腹痛, 腹部膨満が出現し, 同院に緊急入院した。翌日血圧低下を来たし, ショック状態にて当院に搬送された。下腹部を中心とした圧痛および筋性防御を認め, 腹部CTにて腹腔内遊離ガス像を認めたため, 大腸穿孔による汎発性腹膜炎を疑い緊急手術を施行した。S状結腸に径6cm大の穿孔を認め, 同部位より腹腔内に硬便が脱出していた。手術はHartmann手術を施行した。術後レスピレーター管理下にPMX, CHDFを施行し, 術後3日目よりHDを施行した。術後5日目のHD中に脳梗塞を発症したが軽快し, 56日目にレスピレーターより離脱し, 80日目に転院した。血液透析患者は水分制限を受けているため硬便になりやすく, 宿便性大腸穿孔を回避するため, 便通コントロールが重要であると考えられた。