2007 年 32 巻 4 号 p. 686-690
症例は58歳, 女性。乳癌根治術後の転移検索のために施行した腹部超音波検査において左卵巣腫瘍を指摘された。骨盤MRIおよびCT検査において卵巣癌と診断され開腹手術を行った。術式は子宮全摘, 両側付属器切除, 大網部分切除, 骨盤リンパ節郭清を施行した。腫瘍は約5cm大で, 肉眼では光沢のある黄白色透明の多胞性病変であった。病理組織学的には間質成分と上皮成分が混在していた。間質成分は大型で非常に異型性の強い腫瘍細胞からなり, 大型多核のものから紡錘型を呈し, 細胞密度が高くなっていた。対して上皮成分は形態的には良性と判断されるため病理組織学的所見より卵巣原発の腺肉腫と診断した。術後補助化学療法は施行せず経過観察のみであるが, 術後8カ月現在再発の徴候なく健存である。